京総5000系

登場の経緯

 1960年代の両得電鉄は輸送力を増やすことに必死でした。沿線には次々と住宅が建設されていき、利用客も増えていきます。朝のラッシュ時間帯は特に乗客が集中し、車両の混雑、乗降時間が長くなることによる遅延は日常茶飯事のことでした。

 

 それに対して両得電鉄では、地下鉄H線への直通、電車の増結、増発などを計画。地下鉄H線への直通はかないませんでしたが、増結、増発は毎年のように行われていました。また、地下鉄に対応した性能を有する3000系を投入し、高い加速度を生かした遅延回復運転も行われていました。

 

 しかし、いくら増結、増発を行っても、焼け石に水状態でした。混雑緩和をもっと進めようとしても、ラッシュ時の定期利用者は運賃割引率が高く、お金をかけても利益は出ないという状態。そこで浦安線を東京へ延伸し、京総本線に対するバイパス路線とすることが決まりました。

 

 浦安線延伸区間は高規格の高架線と地下線により構成されており、長さ20mの車両に対応しています。京総ではこれを機に全線の改修工事を行うことになり、1965年、浦安線全線が長さ20m車に対応できるようになりました。長さ20m車対応区間は1967年に京総津田沼、1970年に四街道、京総千葉へ延伸されています。しかし、肝心の長さ20mの車両がありませんでした。

 

このような経緯により、長さ18mの3000系の長さ20m版、5000系は登場したのです。

理想より万能を目指す

5000系はそのスタイリングが3000系にそっくりであり、「3000系の車体を伸ばしただけの電車」と思っている鉄道好きもいます。しかし、車両性能に注目してみると、そう言い切れない部分もあるのです。

 

 まずは走行性能に注目してみましょう。3000系は地下鉄H線に直通することを想定し、加速度を4.0km/h/sに設定していました。ギア比を高く取り、低回転強トルクの出力特性を有したモーターを採用したことによるその加速力は、特にラッシュ時に普通運用で力を発揮しました。一方、高速運転には向いていないことから、混雑する急行運用に新しい3000系を入れにくいという欠点もありました。

 

 5000系はこの性能特性を見直し、「そこそこの加速、そこそこの高速性能」を目指すことにしました。最初に見直されたのは、高い加速性能。4.0km/h/sまでの加速性能は、地下鉄H線への直通話が無くなった今では要らないということで、加速度2.5km/h/sとなりました。当時の地下鉄に入らない通勤電車としては標準的な性能です。

 

 編成全体のモーター数も見直されました。3000系は4両編成の場合、すべての車両にモーターが付いていました。モーターが多いということは、パワーがあるということ。単純に考えるとパワーがあることは良いことのように思えますが、インフラがついていけません。

 

 モーターが多いということは、モーターの数だけ消費電力が増え、そして電車が重くなります。電車が重くなるということは、より強いパワーがないと電車が動かせないだけでなく、線路へのダメージも増えてしまいます。線路へのダメージが増えると、保線の回数を増やさない限り線路の状況は悪くなるばかりです。線路の状態が悪くなるということは、車で例えるなら路面の状態が悪いということ。つまり、乗り心地にも影響が出てきてしまうのです。

 

 そこで、5000系はMT比を1:1としました。モーターが付いている車両を減らすとそれだけパワーが減ってしまいますので、減ったパワーを大出力モーターの採用により補うことにしました。ギア比も見直し、少し低めのセッティングとしています。加速力は劣ってしまいますが、高速域での性能が高くなっています。自転車で例えると、ギアが軽いのが3000系、重いのが5000系と言ったところでしょうか。

 

 5000系は走行性能だけでなく、座席も多少見直しました。3000系の座席はとにかく詰め込みを重視するため、座席の奥行きが短くなっていました。しかし、5000系は当初から上野~銚子間などの長距離運用を想定して設計されており、座席の奥行きを広くとることにしました。同時に、座席のトルソ角を改善。背面が3000系より前にせり出しています。

 

 その結果、通路部分の幅が微妙に狭くなっていますが、これは長くして定員を増やした車体によってカバーしています。しかしそのことに関してはあまり知られていません。「長距離運用がクロスシート車から5000系(ロングシート)に置き換わってしまった」ということばかりが独り歩きし、「5000系はクロスシートではないから嫌い」という評価が多いのは残念です。


※当ページの内容はフィクションです。

当ページ最終更新日 2018年10月03日

当ページ公開開始日 2018年10月03日